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お客様事例

2008年5月9日公開

電極設計の自動化への挑戦

電極土台とCAM条件を標準化し登録。
さらに繰り返し作業はコンピュータに対応させることで工数削減。

会社概要 (平成19年3月31日現在)
グローリー株式会社
http://www.glory.co.jp/
所在地
兵庫県姫路市
代表者
代表取締役 西野 秀人
創立
1925年6月
従業員数
3317名  (グループ総数5662名)
売上高
1645億3900万円
事業内容
通貨処理機、情報処理機、自動販売機、カードシステム・サービス機器などの開発・製造・販売・メンテナンス
オープン出納システム 硬貨レジつり銭機


 
「電極設計の自動化への挑戦」と題し、グローリー株式会社様の事例をご紹介いたします。
本稿は2007年12月に開催しました、UEL FORUM 2007でのご講演内容です。
 

 講演者

グローリー株式会社 本社工場 部品製造部 金型グループマネージャ
 内海 吉弘 様
 (UEL FORUM 2007 in GUNMA)
 

 講演内容

【電極設計自動化に挑戦するまでの背景】

皆さん同じかと思いますが、 金型を取り巻く環境は厳しくなってきており、早く安く作ってほしいという要望は留まることなくずっと言われ続けております。
 
2000年頃から2D設計から3D設計への移行を実施しており、工数削減の効果はでてきています。 当時の目標は達成できたのですが、さらに「設計工数30%削減」という目標を掲げて取り組むことになりました。
 
製品は識別部・センサー部というようなものが中心であり、 複雑で加工に時間が掛かる形状の金型を作っている関係上、どうしても電極を削減することはできません。 電極を減らす努力はしていますが、0にはなりません。
ウエガイドという製品で金型設計工数の調査をした結果、電極に関わるところがずば抜けて大きいことが判りました。
他の部品でも調べたところ、100〜200本というような数の電極を作っている状況です。
電極設計を何とかしないと金型製作の内製化も進まず当然コストにも影響されます。 このような理由から、電極設計の改善を中心として、工数削減に取り組むことになりました。
 

現状分析
 

【工数が掛かる原因とその対策】

自動化をおこなう以前の電極設計の流れをご紹介します。
電極設計には、電極を形作るCAD部の作業と、加工プログラムを作成するCAM部の作業があります。
 

電極設計の流れ
 

CAD部でのモデリングとしては、放電部の形状と土台形状があります。
 
放電部の形状は先端形状と呼びますが、先端形状は自動で作成せず、自分たちで考えて作成するという前提で進めてきました。
先端形状を作成後、土台を付け加えます。土台とは、電極の放電加工時に芯だしをする場所や、電極素材のワークの大きさのことです。
そして放電加工するXYZの情報を出します。 その情報をCAMに持っていく際に、各オブジェクトに分けて、加工原点を合わせる、電極の向きを変える、という作業を行います。
 
その後CAMの設定をおこないます。 加工方案の作成、加工手順の作成、経路名の設定などの条件をそれぞれ設定します。 これは一本一本個別におこないます。
その後統合経路の作成、マガジン設定、加工指示書等の作成をします。
 
作業時間を一本単位でみてみますと、ざっと26分です。 内訳をみてみると、土台作成が6分、CAMの設定が10分であり、この2つが特に時間が掛かっているところでした。
 
この作業時間を削減するために、電極土台の標準化と登録、CAM条件の標準化と登録をおこなうことにしました。
以前は土台を一つずつ描いていましたが、大きさを標準化することによって、それを登録しておけばいつでも呼び出して結合するだけで作れるようになりました。
結果、6分が2分になり、4分短縮することができました。
CAMも同様に電極に絞って、工程・工具・条件等を標準化し、登録しました。
その結果、10分が7分になり、3分短縮することができました。
26分かかっていたところが19分になりましたが、30%削減という目標にはまだまだ到達しないという状況になりました
 

【自動設計システム構築と結果】

さらなる工数削減に向けて再度検討しましたが、社内で対応するには厳しいということになり、 日本ユニシス・エクセリューションズに「自動化」という考え方でできないか相談した結果、共同でシステムを構築することになりました。
人が考えるところは人が考えたい、繰り返し作業はコンピュータにやらせたい、 ミスの防止につながるようなシステムにしたいという要望等を仕様書としてまとめ、開発を進めました。
 
機能としては、土台はあらかじめ基本形状を作成しておき、キーボードでF8キーを押して基本形状をクリックすれば、 5mmピッチで丸めて立体を作成できるようにしました。
 

自動設計システム構築と結果
 

CAMも立体を作成しておけば、繰り返し作業は全てシステムがおこない、 オペレーターは名前の入力、領域の指定をし、 あらかじめ決めておいた標準の工程のところにドラッグ&ドロップすれば計算処理されNCデータと加工指示書の作成までおこなう、 というシステムに仕上がりました。
 
その結果、マウスのピック回数、キーボードの入力回数、計算の実行回数などを含めまして、 131回操作していたものが19回になり入力項目をかなり減らすことができました
 
作業時間は、土台作成は6分が2秒、CAM設定・NC計算は10分が3分、加工指示書作成も3分が1分となり、 トータル26分かかっていたところが11分になりました。 55.7%の削減ができております。 金型設計工数トータルでみても30%の削減が達成できました。
 

【今後の課題】

設計は人が介在する部分が多いので、不具合を削減してくれるようなシステムに改善していきたいです。
 
また協調設計を取り組み始めているところで、試験的におこなった結果ではかなり良い結果がでてきており、 今後も日本ユニシス・エクセリューションズの力を借りながら本格的に進めていきたいと考えております。
 

ご紹介したグローリー株式会社様の「電極設計の自動化への挑戦」は、これで終了です。

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