お客様事例
お客様事例
2008年10月1日公開
ソリッド設計のメリットがようやく理解され始めた。
あとはどれだけ本気でやるのか、一緒になって頑張ってくれるUELに期待しています。
日本の基幹産業支える高度な金型技術
元気なものづくり中小企業300社2008年版に選定
マルスン駿河グループは、1955年創業の金型専門メーカーです。
各種プレス金型、射出成形用金型、熱成形用金型、FRP、SPM用金型などの設計制作および各種治具・専用機の設計制作を行っています。
自動車、家電から、宇宙航空機部品まで幅広い分野にわたって高品質な金型を製造し、日本の基幹産業を支えています。
2006年には海外事業として金型の設計子会社、マルスンベトナムを設立。
現地採用社員を日本に招き、業務に必要な技術を習得させています。
その設計ソフトとして採用されたのが、日本ユニシス・エクセリューションズ(以下UEL)のCADmeisterでした。
インターネットを介したベトナム子会社との共同作業で、コスト削減への道を模索
マルスンでソリッド型設計グループを率いる設計課課長の中里氏は、CADmeisterの導入の経緯を次のように語ります。
「CADmeisterのリリースは2005年7月、マルスンでは11月に導入しました。
2000年頃に一度ソリッド設計に取り組み、CADCEUS5Rを使ってみたことはあったのですが、
当時はマシンのスペックが不足していたり、別プロジェクトで多忙になったりといった理由で、一時中断してしまいました。
2005年になると、ベトナムに設計子会社を設立するプロジェクトが立ち上がり、
『ベトナムと連携して設計するならやはり3次元だろう』というときにタイミング良く、3次元CADCAMシステムCADmeisterがリリースされたのです」。
最初にUELがサポートしたのは、教育面でした。
初めてCADmeisterに触れる設計課の4名に加え、ベトナム人研修生を一度に6人、合計10人ものメンバーへの教育をどうおこなうかが課題でした。
UELでは講師を派遣し、適切な教育コースをタイムリーに提供。
「社内の日本人とベトナム人社員では、言葉の問題もあり、研修の進度にも差が出て大変なのですが、そこをUELの講師がよくフォローしてくれました。」
われわれ現場の要望や提案に耳を傾けてくれる“密な関係”に納得したから
マルスンではCADmeisterを主にプレス部品の金型設計で使用しています。
中里氏は、ソリッド設計のCADソフトを他にも何本か使ったことがあり、それぞれソフトには一長一短があるといいます。
「UEL以外はすべて海外メーカー。
世界的製品でバージョンアップのスピードが速いという点ではいいのですが、
はたして当社のような細かなニーズに耳を傾け、提案を反映してくれるだろうかと考えました。
その点CADmeisterは、近くの三島にUELの営業所ができるなど、開発とも営業の方とも距離が近かったということが決め手となりました。
CADmeisterについてわからないことがあるときや、トラブルが生じたとき、
CAD以外のソフトの相談なども気軽にできるので助かっています。」
また今後は設計以外の部分でもCADmeisterに統一したいとのことです。
「上流から下流まで一貫して同じシステムで作業するメリットは大きい。
これからは成形シミュレーション、工法検討、設計、製作まで一貫してCADmeisterを使いたいと考えています。」
お客様からのソリッド化への要望にもスムーズに対応できた
この1年ほどで、お客様である自動車メーカー等からソリッド設計でという要望が急に増え始め、
スムーズに対応できたという点で導入のタイミングが良かったと中里氏はいいます。
設計工数の圧縮という成果も徐々に出つつあり、
流用設計の理想的なパターンでは、最大4分の1の工数で設計したという、突出した実績もあるそうです。
「ただし、一品一様のオーダーメイドに近い、当社のような金型専業メーカーの場合は、
あまり流用設計機能に頼れるようなリピートオーダーが多くないのが現状です。
どんな条件のもとでも工数を減らすという目標も掲げているのですが、
まずはソリッド設計でこれだけの製品を作ったという、実績数を積み重ねていこうと考えています。
また、ソリッドで設計すれば、次工程に情報が流せるため、
トータルのものづくりで見ると生産性が上げられるという点では期待通りでした。
一次加工システムDie-Stackerも利用していますが、ソリッド設計とDie-Stackerとの連携で高速無人加工においても工数削減の効果が出ています。
次工程にある鋳物メーカーさんの努力でもあるのですが、
ソリッドデータを鋳物メーカーにそのままトスできることで、納期が短くできるようになったという評価の声が上がっています」。
CADシステムを使いやすくするという部分とビューワー等、システム以外の部分
その両方の進化をUELに期待しています
「導入から2年余がたち、CADmeisterでの設計自体は、人材さえいれば問題はないという段階に来ていますが、
製造現場がまだソリッドへの切り替えについてきていないという点が、これからの課題です」。
部品の外注先等のために、ソリッドで設計が終わっているのに、二次元図面も用意することがあったという中里さん。
ソリッド設計のメリットを製造現場にも正しく理解してもらうために、CADmeisterに新しい改良や付随するツールがほしいと考えています。
「形情報だけではものがつくれません。
たとえばソリッドデータに公差をどう盛り込むかが課題となっています。
二次元CADの図面なら形情報と文字情報が一度に伝わったのに、ソリッドは寸法が見えないからいろいろな解釈をされます。
そこでUELにビューワーを開発してもらい、製造現場の人に意見を聞いてフィードバックしたり、
UELのSEの方に、製造現場でソリッドデータの扱い方についての研修をお願いしたりして、一貫した体制化を進めています」。
UELには、高価なシステムを入れられない家族経営の外注先や高齢の技術者でも使えるツールを開発してほしいというのが、
目下の中里さんの願いです。
型構造のプロでも、パラメトリックとか履歴編集操作でつまずいて、途中であきらめてしまう人がまだまだ多い。
現場の苦手意識を取り除くため、UELがわれわれと同じ目線で、もっとハードルの低いシステムを開発してくれることを期待しています。」
ソリッド設計は技術者の育成のためのツール
ブラックボックスのない真の技術者を育てたい
システムが、人材が育つまでのスピードをフォローしてくれるという点はいいが、
そこから先はあくまで「人材」が担っていくべきだと、中里氏は技術者としての信念を語ります。
「システムに新しいコマンドができれば、それに応じて設計の仕方は変わっていく。
設計方法はいろいろと進化していきますが、あくまで設計する=考えるのは技術者であるべきです。
UELのSEの方にもよく言うのですが、
システムに頼り、パターン化した操作で設計可能になることによって、設計者が自分の頭で考えなくなってしまったら終わりです。
なぜこうなったのか、前工程・次工程のことがわからない、そのような技術者ばかりになったら、会社の技術力はどんどん下がってしまいます。
金型業界は職人的技術が勝負。だから日本がトップだと言われてきましたが、
中国やアジアもかなり台頭して来ており、価格で比較されたときにはとても勝てない。
技術力はあくまでも、日本にきちんと残したいのです。
ソリッド設計は、人材育成のための道具のひとつ。
ベトナムも含めて3年先、5年先に実力のある技術者を育てることが目下の目標です。」
昔馴染みのお客様からは『貫禄が出たね〜』と声を掛けていただくことが多くなりました(つまり太った)。
静岡東部地区をメインで担当しております営業の伊藤です。
マルスン様とは、三島エクセルステーション開設により地理的距離間も縮まったこともあり、営業・SEを含め多義にわたりお付き合いさせていただいております。
また、日頃より高い志でCADmeisterを主体としたエンジニアリングプロセスの改善活動を実施されていて、我々も微力ながら一緒に参画させていただいております。
現在主要のテーマでありますソリッド設計に関しても、さらなる派生・展開を実現し、お客様価値を高めるべくご支援をさせていただく所存です。」
ベトナム生へCADmeister講習を昨年実施した時は、みな真剣で講師としても気合が入りました。
マルスン様は富士山のふもとにあり冬は特に澄んだ青空と白い雪のコントラストが本当に美しいです。
今まで日本各地いろいろな場所から富士山を見てきましたがマルスン様の食堂からの眺めが一番と言っていいほど美しかったです。
マルスン様本社工場入口から
取材担当 牧野